倍音とは?

 

音の個性を特徴づけている成分の事で、基音の整数倍のものと非整数倍のものがあります。

邦楽には倍音を付加した発声が多く、総じてサビ声(寂声、錆声)と云われています。浪曲の発声は特に決まりはないものの、特に男性浪曲師に於いて最も倍音成分を付加させた発声を称して「胴声」と呼びます。

中央アジアのトゥバ共和国の倍音唱法ホーメイや、モンゴルのホーミーなどに見られる喉唄の発声法と良く似た共通点があります。

サビ声、さび音は「生命が枯れて朽ちてゆく、その様を味わい楽しむ」という意味合いも含んだ概念だと考えています。啖呵の部分では沢山の登場人物を声の倍音成分をコントロールして演じ分けます。

三味線の「さわり」は弦の倍音が良く鳴り響くように取り付けられたものです。
浪曲と倍音は切っても切れない関係性があるのです。
孝太郎は通常の浪曲に加えて、入門前に習得したホーメイや「口琴」などを入れ込んだ演目を倍音浪曲と称して口演しております。

 

東家孝太郎